Sanctuary

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Memorandum about what I learned and thought today

ガウスの法則を、疎漏的に導出する。

注:以下は厳密な議論ではありません。大体、私みたいな学生が厳密な議論を正しく解釈するのは困難だと思っています。

$$\begin{eqnarray} E &=& \frac{1}{4\pi ε_0} \cdot \frac{Q}{R^2} \\\ E &=& \frac{1}{4\pi R^2} \cdot \frac{Q}{ε_0} \\\ E &=& \frac{1}{S} \cdot \frac{Q}{ε_0} \\\ ES &=& \frac{Q}{ε_0} \\\ \int E dS &=& \sum ^n _{i=1} \frac{Q_i}{ε_0} \\\ \textcolor{red}{\int_{S_0} \vec{E}\cdot\vec{n} dS} &=& \textcolor{red}{\sum ^n _{i=1}\frac{Q_i}{ε_0}} \end{eqnarray}$$

上の式は、電荷が離散的に存在する場合の式である。(Σ記号を使っているため)

そこで、電荷が連続的に存在する場合を考えたい。

電荷密度を $ ρ(x) = \frac{{d}Q}{dV}$と定義すると、$\sum^n_{i=1} Q_i$は、$\int_V ρ(x) d^3x$と書き直すことができる。

また、電束密度$\vec{D}=ε_0\vec{E}$と定義する。すると、

$$\begin{eqnarray} \textcolor{red}{\int_{S_0} D dS} &=& \textcolor{red}{\int_V ρ(x) d^3x} \end{eqnarray}$$

と書き直すことができる。

 

あとで微分形についても書くつもりです。

ド・モアブルの定理はなぜ成り立つか

定理の内容

$$\left( \cos{\theta} + i\sin{\theta} \right) ^n = \left( \cos{n \theta} + i\sin{n \theta} \right)$$

証明(?)

オイラーの公式$\cos{\theta} + i\sin{\theta} = e^{i\theta}$を利用して

$$\left(左辺\right) = \left( e^{i\theta} \right) ^n = e^{i\theta n} = \left(右辺\right)$$

このように、指数法則とオイラーの公式によって簡単に導出することができる。

ベクトル空間①

注意:この記事は執筆中です。

はじめに

大学の線形代数学で扱うベクトルは、高校の時のように有向線分で表されるようなものではありません。

すなわち、向きと大きさを持った値、などというある意味曖昧な定義をしているわけではありません。

ベクトルは、ベクトル空間の元と定義されています。

この、幾何学的でない抽象的なベクトルに慣れることが、大学線形代数学の最初のハードルかもしれません。

ベクトル空間とは

ベクトルを元とする空間!

具体的に言えば、①すべてのベクトル同士の和が一意に定まって、②定数倍も一意に定まって、③演算ができる。

厳密に書けば、

①すべての$\boldsymbol{x}, \boldsymbol{y} \in V$に対し、和$\boldsymbol{x}+\boldsymbol{y}\in V$が一意に定まる。

②すべての$k \in \mathbb{R}, \boldsymbol{x} \in V$に対し、実数倍$k\boldsymbol{x} \in V$が一意に定まる。

③Vの任意の元に対して、ベクトル演算が可能である。

こういう空間$V$を、ベクトル空間と呼びます。

 

では、ベクトル演算とは何でしょう?難しいことはありません。

以下では、$\boldsymbol{x}, \boldsymbol{y}, \boldsymbol{z}$をベクトル空間$V$の任意の元(すなわちベクトル)、$k, l$を実数とします。

ベクトルの演算

結合法則

$$\left( \boldsymbol{x} + \boldsymbol{y} \right) + \boldsymbol{z} = \boldsymbol{x} + \left( \boldsymbol{y} + \boldsymbol{z} \right)$$

加法の交換法則

$$\boldsymbol{x} + \boldsymbol{y} = \boldsymbol{y} + \boldsymbol{x}$$

零ベクトルの存在

$$\boldsymbol{x} + \boldsymbol{0} = \boldsymbol{x}$$

逆ベクトルの存在

$$\boldsymbol{x} + \left( - \boldsymbol{x} \right) = \boldsymbol{0}$$

分配法則①

$$(k+l)\boldsymbol{x} = k\boldsymbol{x} + l\boldsymbol{x}$$

分配法則②

$$k(\boldsymbol{x}+\boldsymbol{y}) = k\boldsymbol{x} + k\boldsymbol{y}$$

乗法の交換法則

$$k(l\boldsymbol{x}) = (kl)\boldsymbol{x}$$

1倍すると元のベクトルを示す

$$1 \cdot \boldsymbol{x} = \boldsymbol{x}$$

部分空間とは

Kerasのエラーまとめ

この記事は書きかけの記事です。

ValueError: `validation_split` is only supported for Tensors or NumPy arrays

原因

x_trainy_trainの配列がNumpy配列になっていない。

対処法

np.array(x_train, dtype='float32')として、Numpy配列に変換。

(要import numpy as np

lossが下がらない

原因①

x_trainy_trainの値が大きすぎる。正規化していない。

対処法

x_train /= max(x_train)とするなど、x_trainy_trainの値を小さくする。

Keras TunerでINFO:tensorflow:Oracle triggered exitが出て、ハイパーパラメータチューニングがされない

原因

tuner = kt.Hyperband(directory = 'my_dir')で指定したdirectory(この例の場合はmy_dir)がすでにフォルダ内に存在する。directoryを指定していない場合は、'untitled_project'という名前のdirectoryがすでに存在する。

対処法

該当するdirectoryを削除するか、名前を変更する。

エントロピー・エンタルピー・ギブスの自由エネルギー

本稿では、あえてまずギブスの自由エネルギーから説明していきます。

ギブスの自由エネルギー$G$

定義

以下の数式で表される状態量$G$を、ギブスの自由エネルギーと呼ぶ。

$$G=H-TS$$

ただし、$H:$ エンタルピー、$T:$ 絶対温度、$S:$ エントロピー

ちなみに、ギブスの自由エネルギーは単にギブスエネルギーと呼ぶこともあります。

英語ではGibbs free energyといいます。単位は[J]

状態量なので経路に依存しない。

 

エントロピー$S$

定義

以下の数式で表される状態量$S$を、エントロピーと呼ぶ。

$$ΔS=\frac{ΔQ}{T}$$

ただし、$ΔQ:$ 系に入る熱量、$T:$ 絶対温度

英語ではentropy。単位は[J/K]

状態量なので経路に依存しない。

意味

エントロピー変化は系に入る熱量と絶対温度の比で表される。

すなわち、最初の温度が一定のとき、入ってくる熱量が大きければ大きいほどエントロピー変化が大きい。

なお、エントロピー$S=0$の基準は熱力学第三法則(絶対零度におけるエントロピーは完全結晶なら一定)によって絶対零度にすることができるが、普通は相対的なものとして変化のみを追う。

コラム:絶対零度エントロピーは?

$\displaystyle{\lim_{T\rightarrow 0}S=\lim_{T\rightarrow 0}\frac{q}{T}=\infty}$ではないかと言う人がいらっしゃると思いますが、そうではありません。

$T\rightarrow 0$ならば$q\rightarrow 0$なので、無限大は解消されて$S\rightarrow 0$に収束します。

多くの非金属結晶の熱容量$C$は絶対零度近傍で$T^3$に比例することが知られていますから、これを認め、$q=\int CdT$であることを考えれば、

$$\begin{eqnarray}ΔS&=&\frac{ΔQ}{T} \\ &=&\int CdT\cdot \frac{1}{T} \\ &=&\int \frac{αT^3}{T}dT \\ &=&\int aT^2dT \\ &=&\frac{αT^3}{3}\end{eqnarray}$$

ただし$α$は$α \in \mathbb{R}$の定数。

この式から分かる通り、$\displaystyle{\lim_{T\rightarrow 0}S=\lim_{T\rightarrow 0}\frac{q}{T}=0}$が成り立つのです。よって、絶対零度エントロピーは$0$。

エンタルピー$H$

定義

$$H=U+PV$$

ただし、$H:$ エンタルピー、$U:$ 内部エネルギー、$P:$ 気圧、$V:$ 体積

英語ではenthalpy。単位は[J]

意味

別名を熱含量と言う通り、気体が熱力学的にもつ全エネルギーと考えて差し支えありません。

$U$は内部エネルギーですから、$\frac{3}{2}nRT$とか$\frac{5}{2}nRT$とかのあれのことです。原子や分子の運動エネルギー・位置エネルギーの総和として定義される。

一方で$PV$は気圧によって行うことのできる仕事である。

再度$H=U+PV$の式を見れば、ほら、エンタルピー$H$が、気体が熱力学的に持つ全エネルギーだということが理解できましたか?

ギブスの自由エネルギー$G$に戻る。

以下にギブスの自由エネルギー$G$の式を再掲する。

$$G=H-TS$$

議論しにくいので、等温とし、$\Delta$を$G,\,H,\,S$に対してつけると

$$\Delta G=\Delta H-T\Delta S$$

すなわち、ギブスの自由エネルギーの変化$\Delta G$は、気体の全エネルギーの変化$\Delta H$と エントロピー変化$\Delta S$に伴う熱量の変化$T\Delta S$を意味している。

その意味するところはすなわち、エネルギー安定化を齎すエネルギー変化と エントロピー増大を齎すエネルギー変化の差ということになる。

一般に、物質はエネルギーの安定になる方向に反応が進む。ex)発熱反応。逆に進むこともある。ex)吸熱反応

対して、物質はエントロピー増大の方向にのみ自発的に反応が進む。

もし$\Delta G<0$ならば、$\Delta H<T\Delta S$であるから、例え$\Delta H$が$T\Delta S$と逆方向の反応を示していたとしても、エントロピー増大の側が打ち勝って、まさしくエントロピーの増大する方向に反応が進むことを表す。

もし$\Delta G=0$ならば、$\Delta H=T\Delta S$であるから、2つの反応は平衡になる。

もし$\Delta G>0$ならば、$\Delta H>T\Delta S$であり、エネルギー安定化の側が打ち勝ちそうに思えるが、熱力学第二法則エントロピー増大の法則)に従ってその方向の反応は進むことがなく、自発的には反応が進まない。

例えば、密封された袋に入った気体が液体に変化するのは発熱反応であり、エネルギー安定化の反応である。しかしその液体が気体に変化する反応はエントロピーが増大する反応である。この2つが競合することで、気液平衡に至る。

自由エネルギー$G$と仕事$W$

自由エネルギーの変化$\Delta G$は

$$\begin{eqnarray}\Delta G &=& \Delta H - \Delta (TS) \\ &=& \Delta U + \Delta (PV) - \Delta (TS)\end{eqnarray}$$

等温、等圧とすると

$$\Delta G = \Delta U + P \Delta V - T \Delta S$$

$\Delta U =q+w$(熱力学第一法則;エネルギー保存の法則

$P\Delta V=-w_{体積変化}$

$T\Delta S =q$(可逆変化のみ、エントロピーの定義より)

以上を代入して

$$\begin{eqnarray}\Delta G &=& q+w -w_{体積変化} -q \\ &=& w - w_{体積変化}\end{eqnarray}$$

体積変化に使われない仕事は、別のなにかに仕事をできるエネルギーととみなせるから

$$\Delta G = w_{有用}$$

すなわち自由エネルギーの変化$\Delta G$は全て何か他の仕事をするのに使うことができる。

しかし、ギブスの自由エネルギーの定義式$G=H-TS$を変形した$H=G+TS$によれば、他の仕事をするのに使えるエネルギーは全エネルギー(エンタルピー)の一部であり、$T\Delta S$を使って仕事はできない。($T\Delta S$はどうあがいても利用することができず、束縛エネルギーと呼ばれる。温度を維持するために使われるため。)

偏微分方程式を解く(変数変換法)

今回は変数変換法偏微分方程式を解く。

問題

次の偏微分方程式を解け。

$$5\frac{\partial u}{\partial x} + 6\frac{\partial u}{\partial y} = u$$

右辺が0でないので解きにくいパターンである。

問題の出典:橋爪秀利『工学系学生のための数学物理学演習』共立出版 第20章の演習問題20.3。p.104

解法

まず、以下のように変数変換してみる。

$$\left\{ \begin{array}{1} s = ax+by \\ t=cx+dy \end{array} \right.$$

なお、$a, \ b, \ c, \ d$は定数で、値は何だったとしても成立するなぜ?が、とりあえず文字のまま計算していく。

すると、チェーンルールにより$\frac{\partial u}{\partial x},\ \frac{\partial u}{\partial y}$はそれぞれ以下のように変形できる。

$$\begin{eqnarray} \frac{\partial u}{\partial x} &=& \frac{\partial u}{\partial s}\cdot\frac{\partial s}{\partial x} + \frac{\partial u}{\partial t}\cdot\frac{\partial t}{\partial x} \\ &=& a\frac{\partial u}{\partial s} + c\frac{\partial u}{\partial t} \\ \\ \frac{\partial u}{\partial y} &=& \frac{\partial u}{\partial s}\cdot\frac{\partial s}{\partial y} + \frac{\partial u}{\partial t}\cdot\frac{\partial t}{\partial y} \\ &=& b\frac{\partial u}{\partial s} + d\frac{\partial u}{\partial t} \end{eqnarray}$$

以上で変形した$\frac{\partial u}{\partial x},\ \frac{\partial u}{\partial y}$を元の問題の式$5\frac{\partial u}{\partial x} + 6\frac{\partial u}{\partial y} = u$に代入して整理すると

$$(5a+6b)\frac{\partial u}{\partial s} + (5c+6d)\frac{\partial u}{\partial t} = u$$

となる。

ここで、$5a+6=0$または$5c+6d=0$ならば常微分方程式に帰着できる。

$a, \ b, \ c, \ d$は任意の定数であったことを思い出し、ここでは$5c+6d=0$とする。

そこで$5c+6b=0$を代入すると、以下の常微分方程式に帰着できる。

$$(5a+6b)\frac{\partial u}{\partial s} = u$$

両辺を積分して整理していくと

$$\begin{eqnarray} (5a+6b)\frac{\partial u}{\partial s} &=& u \\ \frac{5a+6b}{u} \partial u &=& \partial s \\ \int \frac{5a+6b}{u} \partial u &=& \int \partial s \\ (5a+6b)\ln{(u)} &=& s + \textcolor{blue}{f(x, \ y)} \\ \ln{(u)} &=& \frac{s}{5a+6b} + {f(x, \ y)} \\ u &=& \exp{(\frac{s}{5a+6b} + {f(x, \ y)})} \\ u &=& \exp{\frac{s}{5a+6b}}\cdot{f(x, \ y)} \end{eqnarray}$$

なお、${f(x, \ y)}$は任意の関数で、積分定数の代わりのようなものである。

$f(x, \ y)$の$t$に、先ほど$0$とした$5c+6b=0$を満たす$(c, \ d)$、例えば$(c, \ d)=(6, \ -5)$を$t=cx+dy$に代入した$t=6x-5y$を代入してなぜ?注:$(c, \ d)=(0, \ 0)$のような、どちらかが0になる値はだめらしい。

$$\exp{\frac{s}{5a+6b}}\cdot{f(6x-5y)}$$

仕上げに、$s$の定義$s = ax+by$を代入して、

$$u = \exp{\frac{ax+by}{5a+6b}}\cdot {f(6x-5y)}$$

 

コラム

なぜ定数$a, \ b, \ c, \ d$は任意の定数なのか

任意の値といえども、上の例で言えば$5c+6d=0$のみ縛りは存在する。

最後の計算結果をよく見てみよう。以下に再掲する。

$$u = \exp{\frac{ax+by}{5a+6b}}\cdot {f(6x-5y)}$$

これを見る限り、どうやら$ax+by, \ cx+dy$は、少なくとも、たとえ定数倍しても、積分定数の代わりのような任意関数である$f(x)$の部分に吸収できる。

じゃあ他は?一般の偏微分方程式では?わからん。

なぜ?と書いたところわかる方いらっしゃったらコメントでおしえてください!

固体の変形① 応力とひずみ、弾性定数―言葉の意味

応力

応力(stress)は、ある固体に働く圧力のようなものである。式もそんな感じ。ちなみに圧力というのは気体や液体に対して主に使う言葉で、応力は固体について主に使う言葉と思っておけば良い。単位は[Pa]

面に垂直に働く応力を垂直応力または法線応力という。これはさらに引張応力圧縮応力に分けられる。要は引っ張ったり押しつぶしたりしたときにかかる応力のことである。記号では、よく$σ$で表される。

対して、面の接線方向に働く応力のことを接線応力またはせん断応力またはずれ応力と呼ぶ。意味は名前通りである。記号は$τ$。

応力の式

垂直応力$σ$や接線応力$τ$は、以下の式で定義される。

$$\underset{\mbox{垂直・接線応力}}{σ,τ} = \frac{F_\mbox{力}}{S_\mbox{断面積}}$$

なお、当然だが、力が斜め方向に加わっている場合、力は三角関数を用いて分解しなくてはならない。

ひずみ

ひずみは、物体の変形の割合のことである。無次元量

伸びひずみ$\epsilon$

伸びひずみ$\epsilon$は以下の式で表される。

$$\epsilon = \frac{\delta L}{L}$$

$\epsilon > 0$なら伸び変形、$\epsilon < 0$なら縮み変形であることが式からわかる。

せん断ひずみ$\gamma$

せん断ひずみ$\gamma$は、例えば直方体のようなものが平行六面体になるような変形のこと。

せん断ひずみ$\gamma$は、以下の式で表される。

$$\gamma = \frac{\delta L}{L} = \tan{\theta}$$

ただし、$L$はある辺の長さを示し、$\delta L$はその辺の移動距離を示す。また、$\theta$は変形した角度を示す。後で図を作ります。

体積ひずみ$\Delta$

体積ひずみ$\Delta$は、すべての面に一様な法線圧力$σ$がかかった場合のひずみである。例えば深海に物体を入れたときにかかった水圧によるひずみである。

体積ひずみ$\Delta$は、以下の式で表される。

$$\Delta = \frac{\delta V}{V}$$

ポアソン比$\nu$

ポアソン比$\nu$とは、軸方向のひずみ$\frac{\delta L}{L}$と直径方向のひずみ$\frac{\delta d}{d}$の比のこと。

例えば円柱状の棒を引っ張って伸ばすと、半径は小さくはずである。逆もまた然りで、圧縮して縮めると、半径は大きくなるはずである。

$$\underset{ポァソン比}{\nu} = - \frac{ \frac{ \delta d}{d}}{ \frac{ \delta L}{L}}$$

ポアソン比$\nu$は、$0<\nu\leq 0.5$の範囲を取り、物質に固有の値である。

ポアソン比$\nu=0.5$ならば、いくら伸ばせど縮めど体積は変わらない。

ポアソン比が小さいほど、体積が小さくなる。

物質 理想* ゴム SUS​304 クラウンガラス
ポアソン 0.50 0.46~​0.49 0.44 0.29 0.22

*「理想」とは、いくら引っ張ったり縮めたりしても体積が変わらない理想的な物質のこと。

ヤング率$E$ - 引張

フックの法則によれば、応力$σ$とひずみ$\frac{\delta L}{L}$は比例する。ただし、比例限界内であればの話$\cdots$。

引張応力$σ$について、フックの法則は

$$σ = E\cdot\epsilon = E \cdot \frac{\delta L}{L}$$

このときの比例定数$E$を、ヤング率と呼ぶ。単位は[Pa]。

式から分かる通り、ヤング率が大きいほどひずみが小さい=硬い材料ということになる。

逆に、ヤング率が小さいほどひずみが大きい=簡単に伸ばせる柔らかい物質である。

物質 剛体 ゴム SUS​304 クラウンガラス
ヤング率[GPa] $\infty$ $3.0\times 10^{-3}$ 78 193 71.3

なお、ある力を加えたときの伸びや縮みを知りたければ、式変形して$\delta L = \frac{σL}{E}$とすればよい。$\delta L$は伸びや縮みを示しているからね。

剛性率$G$ - せん断

せん断応力$τ$によってせん断ひずみ$\gamma$が生ずる場合のフックの法則は

$$τ=G\cdot \gamma = G\cdot \tan{\theta}$$

このときの比例定数$G$を、剛性率またはずれ弾性率と呼ぶ。単位は[Pa]

ヤング率$E$に比して剛性率$G$の方が低い傾向にあるので、多くの物質はせん断応力に弱いってことです。

物質 剛体 ゴム SUS​304 クラウンガラス
剛性率[GPa] $\infty$ $1.0\times 10^{-3}$ 27 74 29.2

体積弾性率$K$

一様な圧縮応力$σ$によって体積ひずみ$\Delta$が生じる場合のフックの法則は

$$σ = -K\cdot\Delta = -K\cdot\frac{\delta V}{V}$$

このときの比例定数$K$を、体積弾性率という。単位は[Pa]

また、体積弾性率の逆数$\frac{1}{K}$を、圧縮率と呼ぶ。

物質 剛体 ゴム SUS​304 クラウンガラス
体積​弾性率​[GPa] $\infty$ - 217 134 41.2

弾性定数間の関係

頑張って計算すると、以下のようになる。

$$\begin{eqnarray} \nu &=& \frac{3K-2G}{6K+2G} \\ E &=& \frac{9KG}{3K+G} \\ G &=& \frac{E}{2(1+\nu)} \\ K &=& \frac{E}{3(1-2\nu)} \end{eqnarray}$$

多分こんなの覚えなくてよいと思う。関係式で表されるんだよ~ってのを知っておけばよいだろう。

sinx/xの広義積分をフーリエ変換を用いて計算する

今回は、$\int^\infty_{-\infty} \frac{\sin x}{x}dx$をフーリエ変換を用いて解いてみる。

問題

以下の積分値を、フーリエ変換を用いて求めよ。

$$\int^\infty_{-\infty} \frac{\sin x}{x}dx$$

解法

まず、以下のような関数$f(x)$を考える。

$$f(x) = \left\{\begin{array}{l} 0\qquad (x<-1) \\ 1\qquad (-1\leq x\leq 1) \\ 0\qquad (x>1) \end{array}\right.$$

なんでこれを考えるかはわかりませんが、これでうまくいきます。教えて偉い人。

 

続いて、$f(x)$をフーリエ変換し、関数$F(\omega)$とする。フーリエ変換の公式は以下の通りである:

$$\boxed{F(\omega)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int^\infty_{-\infty}f(x)e^{-i\omega x}dx}$$

この公式に$f(x)$を代入することでフーリエ変換する。今回は幸運にも$x<-1,\;x>1$のとき$f(x)=0$であるから、ずいずい計算していくと以下のようになる。

$$\require{cancel}\begin{eqnarray} F(\omega)&=&\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int^\infty_{-\infty}f(x)e^{-i\omega x}dx \\ &=&\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int^1_{-1}1\cdot e^{-i\omega x}dx \\ &=&\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\biggl[-\frac{1}{i\omega}e^{-i\omega x}\biggr]^1_{-1} \\ &=&\frac{1}{i\omega \sqrt{2\pi}}\bigl( -e^{-i\omega}+e^{i\omega} \bigr) \\ &=&\frac{1}{i\omega \sqrt{2\pi}}\{-\cos{(-\omega)}-i\sin{(-\omega)}+\cos{\omega}+i\sin{\omega}\} \\ &=& \frac{1}{i\omega \sqrt{2\pi}}\{\cancel{-\cos{\omega}}+\cancel{\cos{\omega}}+i\sin{\omega}+i\sin{\omega}\} \\ &=&\frac{1}{\cancel{i}\omega \sqrt{2\pi}} \cdot (2\cancel{i}\sin{\omega}) \\ &=&\sqrt{\frac{2}{\pi}}\frac{\sin{\omega}}{\omega} \end{eqnarray}$$

以上より、$f(x)$をフーリエ変換した結果$F(\omega)=\sqrt{\frac{2}{\pi}}\frac{\sin{\omega}}{\omega}$である。とりあえずここまで計算お疲れさまでした。

 

続いて、いま計算した$F(\omega)$をフーリエ逆変換の公式に当てはめて計算していきます。

えっ!?フーリエ逆変換したら元の関数$f(x)$に戻っちゃうんじゃないの?と思うかもしれませんが、実はこれ、フーリエ逆変換を計算するわけではありません。

単純に、フーリエ逆変換の公式を$f(x)$と$F(\omega)$に関する恒等式的に使います。実際に見てもらったほうが早いかもしれません。

まずその前に、フーリエ逆変換の公式を以下に示す:

$$\boxed{f(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int^\infty_{-\infty}F(\omega)e^{i\omega x}d\omega}$$

では、上の式にとりあえず$F(\omega)$を代入してみよう。

$$f(x)=\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int^\infty_{-\infty}\sqrt{\frac{2}{\pi}}\frac{\sin{\omega}}{\omega}e^{i\omega x}d\omega$$

この等式は常に成り立つ恒等式である。そこで、両辺に$x=0$を代入してみよう。

$$\begin{eqnarray} f(0)&=&\frac{1}{\sqrt{2\pi}}\int^\infty_{-\infty}\sqrt{\frac{2}{\pi}}\frac{\sin{\omega}}{\omega}e^{i\omega \cdot 0}d\omega \\ &=&\frac{1}{\pi}\int^\infty_{-\infty}\frac{\sin{\omega}}{\omega}d\omega \end{eqnarray}$$

仮定より$f(0)=1$であるから、

$$\begin{eqnarray} 1&=&\frac{1}{\pi}\int^\infty_{-\infty}\frac{\sin{\omega}}{\omega}d\omega \\ \pi&=&\int^\infty_{-\infty}\frac{\sin{\omega}}{\omega}d\omega \end{eqnarray}$$

よって

$$\begin{eqnarray} \int^\infty_{-\infty}\frac{\sin{\omega}}{\omega}d\omega&=&\pi \\ \int^\infty_{-\infty}\frac{\sin{x}}{x}dx&=&\pi \end{eqnarray}$$

すなわち、求める解は$\pi$である。

コラム

ディリクレ積分

$\int^\infty_0 \frac{\sin x}{x}dx$を特にディリクレ積分(Dirichlet integral)という。

この値は$\frac{\pi}{2}$となることが知られている。

これを計算するためには、上記の「解法」の最初の$f(x)$の定義を以下のようにすれば良い。

$$f(x) = \left\{\begin{array}{l} 0\qquad (x<-\frac{1}{2}) \\ 1\qquad (-\frac{1}{2}\leq x\leq \frac{1}{2}) \\ 0\qquad (x>\frac{1}{2}) \end{array}\right.$$

ラグランジュの未定乗数法

英語ではmethod of Lagrange multiplierと言います。

目的

ある束縛条件$g(x,y)=0$のもとで、ある2変数関数$f(x,y)$が極値を取る$(x,y)=(a,b)$を見つけること。

例えば、ある山脈(曲面$f(x,y)$)を曲線g(x,y)=0に従って歩くとき、どの地点$(a,b)$における標高が最も高くあるいは最も低いかを調べることができます。ただし、標高の極値をとる地点の座標$(a,b)$を知ることができるのみで、その地点が極大か極小か、また標高は何mか知るためには、$(a,b)$を$f(x,y)$に代入して考えなければなりません。

内容

$f(x,y)$、$g(x,y)$はともに$C^1$級関数とする。

①$(x,y)$が$g(x,y)=0$を満たしながら動くとき、$f(x,y)$は$(a,b)$で極値を取る

②$(a,b)$は$g(x,y)=0$の正則点である

の両方を満たすとき、

 

$F(x,y,\lambda)=f(x,y)-\lambda g(x,y)$となる$F(x)$について、

$$\frac{\partial}{\partial x}F(a,b,\alpha)=\frac{\partial}{\partial y}F(a,b,\alpha)=\frac{\partial}{\partial \lambda}F(a,b,\alpha)=0$$

を満たす実数$\alpha$が存在する。

補足

$C^1$級関数とは、微分可能な関数でその導関数が連続であるような関数のこと。

正則点であるとは、$\frac{\partial}{\partial x}g(x,y)=\frac{\partial}{\partial y}g(x,y)=0$ではないということ。

 

使い方

①「内容」に示した前提条件に沿っている関数であることを確認する。

②「内容」に示した$\alpha$が存在するので、3式から$\alpha$の値を消去して、$(a,b)$の値を求める。

③ここで出てきた座標$(a,b)$が、$f(x,y)$の極値を取る$(x,y)$である。ただし、極大をとる点か極小をとる点かそのままではわからないことに注意。

コラム

一般の$n$変数関数にも使える

単純に$F=f-\lambda g-\mu h-\dotsb$とすれば、一般の$n$変数関数にも使えます。

勾配で言い換えが可能

$\frac{\partial}{\partial x}F(a,b,\alpha)=\frac{\partial}{\partial y}F(a,b,\alpha)=\frac{\partial}{\partial \lambda}F(a,b,\alpha)=0$、ただし$F(x,y,\lambda)=f(x,y)-\lambda g(x,y)$、といういかめしい式は、$\nabla f=\lambda \nabla g$と書き換えることも可能です。勾配を使ったアプローチから考えた証明が教科書『数学物理学演習』14章に書いてあります。