ラグランジュの未定乗数法
英語ではmethod of Lagrange multiplierと言います。
目的
ある束縛条件$g(x,y)=0$のもとで、ある2変数関数$f(x,y)$が極値を取る$(x,y)=(a,b)$を見つけること。
例えば、ある山脈(曲面$f(x,y)$)を曲線g(x,y)=0に従って歩くとき、どの地点$(a,b)$における標高が最も高くあるいは最も低いかを調べることができます。ただし、標高の極値をとる地点の座標$(a,b)$を知ることができるのみで、その地点が極大か極小か、また標高は何mか知るためには、$(a,b)$を$f(x,y)$に代入して考えなければなりません。
内容
$f(x,y)$、$g(x,y)$はともに$C^1$級関数とする。
①$(x,y)$が$g(x,y)=0$を満たしながら動くとき、$f(x,y)$は$(a,b)$で極値を取る
②$(a,b)$は$g(x,y)=0$の正則点である
の両方を満たすとき、
$F(x,y,\lambda)=f(x,y)-\lambda g(x,y)$となる$F(x)$について、
$$\frac{\partial}{\partial x}F(a,b,\alpha)=\frac{\partial}{\partial y}F(a,b,\alpha)=\frac{\partial}{\partial \lambda}F(a,b,\alpha)=0$$
を満たす実数$\alpha$が存在する。
補足
$C^1$級関数とは、微分可能な関数でその導関数が連続であるような関数のこと。
正則点であるとは、$\frac{\partial}{\partial x}g(x,y)=\frac{\partial}{\partial y}g(x,y)=0$ではないということ。
使い方
①「内容」に示した前提条件に沿っている関数であることを確認する。
②「内容」に示した$\alpha$が存在するので、3式から$\alpha$の値を消去して、$(a,b)$の値を求める。
③ここで出てきた座標$(a,b)$が、$f(x,y)$の極値を取る$(x,y)$である。ただし、極大をとる点か極小をとる点かそのままではわからないことに注意。
コラム
一般の$n$変数関数にも使える
単純に$F=f-\lambda g-\mu h-\dotsb$とすれば、一般の$n$変数関数にも使えます。
勾配で言い換えが可能
$\frac{\partial}{\partial x}F(a,b,\alpha)=\frac{\partial}{\partial y}F(a,b,\alpha)=\frac{\partial}{\partial \lambda}F(a,b,\alpha)=0$、ただし$F(x,y,\lambda)=f(x,y)-\lambda g(x,y)$、といういかめしい式は、$\nabla f=\lambda \nabla g$と書き換えることも可能です。勾配を使ったアプローチから考えた証明が教科書『数学物理学演習』14章に書いてあります。